近親相姦の発生率を調査して

近親相姦(きんしんそうかん)とは、近い血縁関係にある者による性的行為である。国語や創作物の分野ではこの用語が用いられることが多い。ただし、政治、犯罪、フェミニズム、臨床心理学などの学術的分野では虐待問題などに対する危惧から近親姦(きんしんかん)と呼ぶことが多い。英語では近い血縁関係にある者による性的行為をインセスト (Incest、ラテン語のincestusに由来) という 。

近親相姦と性的虐待

キンゼイ報告によれば近親者の性的虐待の体験率は5.5%、父親または義理の父親によるものは1.0%である。キンゼイは思春期開始の年齢を上限としていた。しかし、この調査報告は統計学的に不適切な点が多く、疑問視されている。

また、1978年にはアメリカのカリフォルニアでダイアナ.ラッセルにより調査が行われた。それによると近親者による性被害率は女性が18歳までで全体(N=930)の約16%[7]である。そのうち4.5%が父親で、残り12%が別の肉親である。この調査は女性に対する近親相姦の全体16%のうち3分の1近くが父親によるものであることを示す。だが、同時に気をつけなくてはならないのは3分の2以上が他の肉親によるものであるという点である。

一方、男性に対しても同様の調査は行われている。大学生を対象にしたデイビッド.リザックらの1996年の調査報告では男性の近親者による性被害率は16歳までで全体(N=595)の3-4%である。

日本では1972年、五島勉が著書『近親相愛』でアンケート調査を発表した。その結果女性1229人中4.7%が実際に行為に至った、もしくはギリギリまで進んだと報告された。しかし、これはほとんど話題にされなかった。

また、精神科医の斎藤学が1993年に過食症の女性患者52名、比較群の健康女性52人に行った調査がある。その結果、健康女性の2%、過食症の女性患者の21%が18歳までに接触性近親相姦の被害に遭っているという調査結果が得られた。

石川義之は1993年に大学.専門学校生を対象に調査を行ったが、非接触も含むと女性の12.3%が近親相姦被害に遭っており、うち5.7%が父親によるものであった。

兄弟姉妹の近親相姦

社会学者デイビッド.フィンケラーによる796人の大学生を対象にした研究によれば、女性の15%、男性の10%は、何らかの形での兄弟姉妹との近親相姦を報告し、その4分の1は虐待的なものであった。Floyd Martinsonも大学生を対象にしたこの研究報告10-15%を引用しており、そしてその40%は8歳より前に起こったものである。ただし、これの多くは性交は伴っていない。基本的に性的虐待は年齢差のあるものを指す事が多く、それを性的虐待をみなすとすればどちらが加害者かという問題も浮上する。マルグリット.ユルスナールは文学におけるインセスト主題の歴史を振り返り、父娘や母息子の場合は双方の意志に基づかないものが多く、兄弟姉妹だけには意志的なものが成り立つと主張した。2007年にはドイツで当人たちからの訴状も起こっている。

しかし、もちろんこういった場合も強要が伴う場合が少なくない。こういった兄弟姉妹の場合でも家庭内の力関係を反映しているという指摘もある。「近親相姦に関する研究」で久保摂二の行った調査では、兄弟姉妹相姦は実質的に家族の中心者でありながら、未熟なまま統率者に据えられた男性に多いことが分かっている。兄弟姉妹の近親相姦は不完全な家族の絆を強くする作用があるのかもしれない。周囲の対応として、関係の存在自体を否認したり、まともに取り扱おうとしないことは問題がある。カール.グスタフ.ユングは兄に強姦された女性を治療したこともある。また、兄弟姉妹で性行為を行っている人には形式(偏り)はない。そのため、その行為は家族の機能不全の結果であったとしても、原因にはならない可能性が高い。

 

女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理