近親相姦に関する遺伝学と心理的嫌悪

生物学者が近交弱勢と呼ぶように近親姦で子供が生まれた場合、その子供は遺伝的疾患や死を催しやすい。近親交配においては、夫婦が共通の祖先を持つため、その両者が同じ種類の劣性遺伝子をペアとして共有する可能性が高くなる(両親から同一の遺伝子をもらった場合のみにその形質が現れる遺伝子を劣性の遺伝子、どちらか片親からその遺伝子をもらっただけで形質に現れる遺伝子を優性の遺伝子という)。近親交配を繰り返した場合には両親が同じ劣性遺伝子を持つ可能性が高くなる。そのため、劣性遺伝子という形で隠蔽されている、障害をもたらしたり致死性のある遺伝子が症状として顕在化しやすい。近親相姦でない場合はたとえ片方に特殊な形質に関する遺伝子があっても、もう片親にはそれを打ち消すような優性の遺伝子がある場合が多く、その形質が子供に現れることは少ない。血友病を持つ人物が同じ遺伝子を持つかもしれない自分の兄弟姉妹と親密になって子供を作り、そしてその子供が血友病にかかっているという事例が中世ヨーロッパで見られた。

人類学者の中には、生物学を近親相姦畏避の研究に入れることに批判的な意見がある。近親交配が良い結果をもたらすことも想定できるため、近親交配の嫌悪の根拠を生物学的に求める事はできないとする。例えば骨格異常の遺伝子は優性形質であることが多いなど、障害をもたらす遺伝子が必ずしも劣性であるとは限らない。さらに、望ましい形質が頻度の低い劣性遺伝子に基づいている場合もある。その場合には、その遺伝子のホモ接合型によってその良い形質を顕在化して固定する効果があるために、近親交配が有効な手段となる。ただし、そのような近親交配の長期的な正の効果が顕在化するには、偶然や例外的な環境、あるいは畜産等の人為的な選択管理、などによるデメリットの回避が必要となる。

このため、近親交配が自然界で普通でなく、そして繁栄している生物種がそれを回避する心理的メカニズムを持っていることは意外ではない。例えばウェスターマーク効果など人間界でも近親相姦の嫌悪は一般的である。今のところ、認識心理学上の親族認識については未だ定説が確立しているは言いがたい。また、それがどの程度文化的圧力によって左右され得るかについても研究理解は不十分である。多くの研究結果は、人間の近親相姦嫌悪を理解する上で進化生物学及び人間の心理学が中心的役割を果たすことを示している。

 

女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理